宝塚出身の彩吹真央(あやぶき まお)さんは、現在、日本のミュージカル界をひっぱる実力派のミュージカル女優として大活躍中です。
彩吹真央さんは、宝塚ファンなら誰もが一度は耳にしたことのある、超人気2番手男役スターさんでした。
超人気2番手なのに、なぜトップスターにならずに退団を選ばれたのか、そこには深い事情があったようです。
それらの退団理由も含め、当時のファンの混乱や劇団の対応などについて深掘りしていきましょう。
彩吹真央さんのプロフィールや宝塚歌劇団在団中の活躍も合わせてお読みくださいね。
彩吹真央(あやぶきまお)元・宝塚男役!性格は?年齢や本名、身長、人気の理由、若い頃のエピソードも
※分からない用語があれば【宝塚用語集】をご覧くださいね。
彩吹真央の退団理由は?なぜトップにならなかった?
彩吹真央さんは1994年に宝塚歌劇団に入団、2010年に退団されました。
若手の頃から卓越した実力と人気でスター路線を歩み、大きな役が付いていました。
花組トップスター春野寿美礼(はるのすみれ)さん、ついで雪組トップスターの水 夏希(みずなつき)さんそれぞれの2番手として組をしっかり支えられました。
2組での長すぎる2番手時代を過ごし、そろそろ水夏希さんを引き継いでトップスターに……と、誰もが思っていた矢先、2番手スターのまま退団されてしまいました。
2010年『ソルフェリーノの夜明け/Carnevale(カルネヴァーレ)睡夢(すいむ)』が退団公演となりました。
トップスター2人をあれだけ長く支え、実力はもちろん、人気も華も申し分ないのに、なぜそんなことに……と様々な憶測が飛び交いました。
あの衝撃はいまだに宝塚ファンの中で大きなトラウマとなり、残っています。
本当の事情は、もちろん劇団もご本人もおっしゃらないので、真実は分かりません。
当時、3番手スターだった音月 桂(おとづき けい)さんが、宝塚歌劇団のメインスポンサーのひとつVISAカードのイメージキャラクターだったという背景も無関係ではないでしょう。
彩吹真央サヨナラショー!2番手では異例!男役集大成!
兎にも角にも、トップスターの席は5つしかないのが現実です。
彩吹真央さんに限らず、どうしてもタイミングが合わずにトップ就任が叶わなかったスターさんは他にもいらっしゃいます。
それほど、「タイミング」や「運」もトップへの重要な条件となります。
自分にはそれが足りなかった、と彩吹真央さん自身が判断して、今が男役としての集大成でもある、と思って退団の選択をされたのかもしれません。
劇団もさすがに彩吹真央さんの人気や貢献度を考慮してか、退団公演の千秋楽には異例の「サヨナラショー」が行われました。
サヨナラショーは、基本的にトップスターとトップ娘役の退団時にしか行われない特別なイベントです。
これまでの軌跡を振り返り、代表作品のナンバーを数曲歌ったり、組子全員と思い出の場面を歌い踊って再現します。
しかし、彩吹真央さんのように劇団に多大な貢献を残したスターさんには、サヨナラショーが行われることがあります。
近年では、元月組の2番手スター美弥るりか(みや るりか)さんや、元星組の2番手スター愛月ひかる(あいづき ひかる)さんのサヨナラショーがありました。
劇団としては「トップにはさせてあげられないけど、餞別としてサヨナラショーだけでも」という意向なのでしょう。
彩吹真央サヨナラショー伝説!劇場の周りに大行列も!
宝塚では大きな羽根を背負うのがトップスターの象徴。ファンは大きな羽根を背負うことを夢見て必死に応援します。
ファンの気持ちやこれまで何年もトップスターを支え続けた功績などを思えば、1回のサヨナラショーで納得できるものではないのですが……。
サヨナラショーに関しても、彩吹真央さんがどれほどの人気だったかを表す伝説もあります。
彩吹真央さんのサヨナラショー見たさに、あまりに多くのファンが当日券を求めに劇場に集まってしまい、使っていないホールを急きょ開放してそこに並んでもらった、というものです。
それほど多くのファンの悲しみや怒りを買ってまで、彩吹真央さんをトップにさせなかった劇団の意向は本当に分かりませんでした。
基本的にトップスターのサヨナラショーは30分、トップ娘役のサヨナラショーは15分が相場です。
彩吹真央さんのサヨナラショーは20分ほどでしたので、ちょうど間を取ったということでしょう。
サヨナラショーの構成はご本人がほとんどを決めるそうです。彩吹真央さんのサヨナラショーの内容はファンにとって思い入れの強い楽曲や場面ばかりでした。
彩吹真央と同時に退団したのは誰?雪組に走る衝撃
彩吹真央さんと同時退団したタカラジェンヌには、当時の雪組にとって大変重要な方々が含まれていました。
副組長だった未来優希(みらい ゆうき)さん、彩吹真央さんの相手役を多く務めていた大月さゆ(おおつき さゆ)さんです。
彩吹真央さんと同じくらい、お2人とも当時の雪組にとって欠かせない存在でした。
まるで「彩吹真央がいないのなら」と退団を選ばれたように思えるほどでした。
水 夏希さんもこの公演のすぐあとに退団されていますし、彩吹真央さんの退団によって雪組の一時代が終わった、と言っていいでしょう。
サヨナラショーでは未来優希さんや大月さゆさんの見せ場もしっかりと用意され、彩吹真央さんのお人柄を表していてまた涙を誘ったことを覚えています。
退団公演であるショー『Carnevale睡夢』での黒燕尾姿でのダンスの場面も鳥肌が立つほどで、まさに彩吹真央さんの見事な集大成でした。
しかし、彩吹真央さんを2番手のまま見送った悲しさがどうしても勝ってしまい、いまだに退団作品やサヨナラショーの映像が見られないファンも少なくありません。
そして私もその一人です。
彩吹真央は結婚してる?事務所はどこ?
宝塚を退団後、これだけの実力を持った彩吹真央さんにお声がかからないはずがありません。
彩吹真央さんは退団後すぐにブロードウェイミュージカルに出演し、それ以来ほとんど休むことなく舞台に立ち続けていらっしゃいます。
活動の範囲も、シリアスなものからコメディタッチの作品まで、また、ライブ・コンサートやラジオドラマなど多岐にわたっています。
まさに「仕事が恋人」というライフスタイルで、彩吹真央さんは現在も独身です。
彩吹真央さんが支えたトップスターの水 夏希さんとは「親友」としてプライベートを過ごし、お互いの舞台を見に行き、お仕事でもコラボしたりしています。
水 夏希さんも同じく独身なので、ライフスタイルが似ていることもお2人が気が合うひとつの理由なのかなと想像します。
彩吹真央さんは「ココロ」ちゃんというとても可愛い猫ちゃんと一緒に暮らしていて、その様子がインスタグラムで垣間見られるのも嬉しいですね。
所属事務所は井上芳雄さんを筆頭にミュージカル俳優がたくさん所属している「グランアーツ」です。
舞台出演のバックアップに強い事務所ですので、舞台を中心に活躍したい彩吹真央さんには頼もしいプロダクションなのではないでしょうか。
彩吹真央の現在の活躍、舞台の出演作品は?
宝塚を退団後に彩吹真央さんが出演されてきた主な作品を少しだけご紹介します。
彩吹真央の主な出演舞台
- 2013年『シラノ』ロクサーヌ役
- 2013年『モンテ・クリスト伯』ルイザ役
- 2015年・2016年『End of the RAINBOW』ジュディー・ガーランド役
- 2018年・2021年『マリー・アントワネット』ローズ・ベルタン役
- 2019年・2022年『フリーダ・カーロ -折れた支柱-』フリーダ・カーロ役
- 2021年『5番目のサリー』サリー役
どれも繊細かつ迫真の演技が求められる、大変な難役です。
それを任せられるというのは、演劇界でも納得の実力を持っていらっしゃる証拠ですね。
彩吹真央の宝塚で演技指導?作品は?
また、現在の彩吹真央さんの活動で興味深いお仕事は、宝塚歌劇団への「演技指導」です。
宝塚の座付き演出家である小柳奈穂子先生からのオファーだったそうで、先生が細かく見られない生徒たちの演技部分を見てほしい、と言われたそうです。
近年では、花組の「はいからさんが通る」や月組の「今夜、ロマンス劇場で」に演技指導として入られたそうです。
宝塚を退団後にかつて演技指導の依頼を受けたOGは、星組の元トップスター紫苑ゆう(しおん ゆう)さんなどがいらっしゃいます。
やはり彩吹真央さんの演技力は、劇団から指導側に入ってほしいと依頼を受けるほど、群を抜いていたという証拠ですよね。
しかし、あんなかたちで退団になってしまった事実があるなら、「もう関わりたくない」と思ってしまってもおかしくありません。
そう思わず、劇団からの依頼を快く引き受けた彩吹真央さんの懐の深さには本当に頭が下がります。
彩吹真央さんの演技遺伝子が現役ジェンヌにも受け継がれていること、とても嬉しく思います。
彩吹真央さんの舞台姿同様、楽しみにしていきたいですね。
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